おだやかな道にとどまろうとしたって/ホロウ・シカエルボク
とあったな、ああ、まったくその通りさ―そんなことを思いながら歩き続けているうちに、なにか見覚えのある景色が目に入った、俺は記憶のフォルダを果てしなく漁り、それが小学生の終わりか、中学生の始めのころに訪れた場所であることを思い出した、そう、確かにそこには来たことがあった、男二人、女二人―べつに、色気のある話じゃない、そのときたまたま暇を持て余していた連中で、あてもなくうろついてみただけのことさ…そういやあの時も帰り道に迷って、近くに一軒だけあった商店のおばさんに車で街まで送ってもらったんだっけな、夜中になってさ、うちに帰ってからえらく叱られた…確かにそんなことがあった―あの商店についてはのちに潰れた
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