三月の花摘み/唐草フウ
もうすぐ日がめくれ
いくつか数えた頃
かの女はバラをたくさん落としてきたが
もうプロポーズされることがなくなったからと
時ごと綿毛に包んで
夏の来ない春に明け渡そうとしている
かの女はいくつかの
いのちのしぶきを
空へと見送った
立派に働いて
でもずっと 何が欲しかったのか
むすめだったころは
薄い手紙を交換するだけで
温かく
解りあえている気がしていたけど
口紅の色は違うのを今は選ぶのだろう
制服の紐はもうとっくに溶けている
たがいに
わたしたちにはまだ
大きな芯がある
でもそれは椿のように
花ごと落ちる日が突然来るかもしれない
きこえのいいものだと思われるけど
それはうつくしいものなの
いつまでも
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