卒業/ヤスヒロ ハル
 
打ち捨てられた傘が
雨上がりに閃き

嘘になった舗道は
まだ濡れている

それらに
名前をつけないでくれ
寂しい名を



束ねてからげた未来は
生木で火も点かず

陽に背を向ければ
後悔は網膜に沁みる

それらに
名前をつけないでくれ
優しい名を



輝く雨が降っても

傘はなく
道は泥濘み
希望は燃えず
過去が眼を塞ぐ

上手に卒業出来なかったおれの魂に
名前をつけないでくれ
悲しい名を



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