夜明け/
浅見 豊
毎朝、夜からの氷の瞳を持った三人の娘たちの夢を紫色
に染めてゆく、背の低い北風の話し声。彼女らの膚から
絹を解いてゆく、そんな静かな叫びを愛しているほどに
フラスコから床に零れ出した、夕暮れよりも明るい笑い
声のエーテル。窓から見ている街に、ばら色の夜露の接
吻が一本咲き染める。
─靴の紐は解けた。
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