スフィンクス/ただのみきや
 
りに
世界は今も夢を見続け
炎の中からの叫びは尽きず
不毛の心を生み続けている
希望よ 一体どこへ


スフィンクスは問う
ムーサから教わった謎を
ムーサは文芸を司る女神たち
別の国ではミューズと呼ばれている
本当は謎なんて
なんだって良かったのだ
答が 「人間」 なら
この世に生まれ出ることの幸いと悲哀
弱々しくも愛らしい姿から
成長して自ら立つことの力強さ独立心
いつしか 傲りと錯覚
なにもかも自らの手で成し遂げられると
運命は必ずや開けるものと
だがやがて活力は引き潮のように去って
未来は冬の落日のように弱々しく
呆気にとられて縋る瞳を眩惑しながら
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