屋台の味/布
屋台とは芸術である。
何故、芸術足りえるか。それは、桜が美しい。と言う事と同じで、
簡単に定義でどうこうと言える問題でもない。
桜が何故美しいか。と言えば、散るからとは限らない、咲き誇るからでもあり、
その陰影が美しいのだ、と感ずる者もあれば、桜餅が美味しいから。
と、その要因も様々であろう。
美味。美しい味。味と言えば屋台、である。
何故なら屋台の謳い文句は味自慢、であるから。
荒城の月に想いを馳せ、酒を嗜んでしこたま酔い、
帰りの夜道をふらりふらりと歩いていればあれれ、腹が空いた。
さあ屋台だ。屋台の形而上学は二次元では語れまい。
汁に浮かぶ、破壊と創造の象徴たるおろし大蒜。
その夜の闇との対峙が熱さと寒さの舞踏となり、胃壁に染み渡る。
胃壁が直観で美しい!と叫ぶものは皆美しいのである。
今年の寒さでは、寒桜もさぞかし凍えているであろう。
そんな時、ちょっと屋台の味でも引っかけて見ても美しい事情となるだろう。
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