かさぶた/もり
 
ける
ポケットに入れて
ことあるごとに触れて
輪郭と感触を確かめて
思い出す余地を与えない
容赦なく
やるぞ
触るなと言われた
かさぶたに触れて
お別れしない
こいつとは
痛いけれど 痛みは
いつか慣れると
教わって その上
体験して まじで
知ってる、から
どんなに小さくても
穴という穴を塞ぎ
溢れていくことを許さない
そのことに費やす
私の
血肉 骨 命 魂 時間 永遠
単純に忘れたくないんじゃないよ 完全が世の中にあるのなら忘れたいよ
単純に忘れたくないんじゃないよ 完全が世の中にあるのなら忘れたいよ
でも きっと
誘われる
朝顔の花びらの
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