中古の朝を宿す/
虹村 凌
白い絵の具で書かれた空が夕焼けになっていく
それは幾度となく見た中古の夕焼け
誰でも知っている夕焼け
何度も白い絵の具が夕焼けに溶けていくけれど
何度かいてもそれは中古の夕焼けにしかならない
曖昧な境界線の空を切り裂いて欲しいのに白い絵の具はなにも書かない
白色の腸、白色のソーセージ
形の崩れた中古の朝
境界の曖昧な絵の具
銀色の絵の具
よじれた夕焼け
誰もが知っている
を宿したまま回る銀色の朝
くりかえし
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