吹替え/草野春心
 


  糸球になって いつしか
  あお空へうかびあがっていった
  幼年期のぼくらのなさけなさ

  小さな 薄明るい唇の
  きれいなおさげ髪の女の子
  もう 全然 うつくしくはなくなって

  友よ、
  シャツの裾にのこる
  河原をしめらせていた露粒が
  あのすてきだった日々を吹替えしている



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