不幸の天才/まーつん
鋭い痛みで気づかされる
燃やしていたのは
自分の一部だと
顔の前に吊り下げられた
ニンジンに釣られて走る
ロバみたいに
誰かの描いた幸せを
追いかける為だけに走る
そんな操り人形になるのは
御免だと
冷え冷えとした
殺風景な部屋に一人
掻き立てた内なる火で
己を温めようとする君は
美しくて、痛々しくて
たった今生まれたばかりの
雛鳥みたいに傷つきやすく見えて
血に染まる羽を畳んだ裸の背中
そんな陳腐なイメージを
僕は愛し続ける
ほんとの君は
もっと複雑
解けないパズル、絡みあった糸
霧を集めて出来た人形
抱きしめたら消えていく
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