こころの時間/ただのみきや
太陽が枯れ果てる時間
花が燃え尽きる時間
人の電池が切れる時間
はてしない 悠久の
儚く 束の間の
どこまでも希釈され
濃密に結晶する
必死に掬う指の隙間から零れ落ち
喉を潤すこともない真砂のような
神々が見る
夢のような
――時間
酸の海に溺れている
横顔が彫られたコイン
一枚のレコードが終わる時間
半島からのミサイルが届く時間
転んでから涙を流すまでの時間
仕事を脱ぎ終えた時間
人を好きになって嫌いになる時間
話そうとしたことを忘れてしまう時間
約束が破られるまでの時間
円いグラスが
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