草稿?/よーかん
 
バレないように、
後ずさりして、
安全な場所から薄眼で眺めて、
小さく微笑んでみた。
こんな時、
このオンナの顔が一瞬クシャリと歪み、
涙が落ちるその前に
太い嗚咽でも漏らして
肩を震わしてくれたなら、
どんなにラクか。
だが、その笑みに
コノ娘は嬉しそうに口をとがらせ、
肩でボクをつついて、
笑いを誘おうとする。
そしてまたボクは、
大げさにドカリと
ベッドに転がり、
笑いを誘う。
悪人になるから、
悪人は、
そうやって、
笑いの中で、
冷静におどけている。





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