誰もいない場所に投げられた人生を/奥畑 梨奈枝
 
話す言葉は尽きて
自棄になって木曜日
雨戸を開けて
電気ケトルで温めた ぼくは
インスタントコーヒーを淹れて
砂糖と牛乳を足して飲む
少しずつ不安が焦燥になって
ぼくの中の胃を揺する
外は曇って薄暗い 今日は
誰もいない場所に投げられた人生を
ぼくは拾いに行く
優しいキャンドルを受け取って
それでも嫌な風が吹く


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