本当に凝固しているもの/ホロウ・シカエルボク
俺は、まるでスープの出汁に使う魚の頭みたいにぶつ切りにされたいくつもの見知らぬ人間の死体と一緒に穴の中で横たわっていた、前後の記憶や感覚はまったく失われていて、自分がどうしてそこにそうしているのか、まったくわからなかった、身体は金縛りにでもかかっているみたいに指先ひとつ動かせず、かといって折れているとか、なにかしらの損傷があるとか、そんなこともまったく感じられなかった、損傷―欠損のようなもの、それはおそらくないだろう、と俺は感じていた、どうしてそう思ったのかはわからない、ただ、これはおそらく身体的な原因にまつわるものではないだろうという妙な確信があった、穴は土の―おそらく山中の林の中に掘られた
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