風が騒ぐ夜に/こたきひろし
風がアパートの外でやたら騒いでる
ジェット機の爆音が入り雑じって心穏やかじゃない
夜に
寂しさが鐘を鳴らしながら土足で入ってきた
テレビを消せない
見てもいないのにさ
ボリュームは低く落として、部屋の明かりは消しておいた
「孤独」を括弧でくくりつけ
天井にぶらさげながら、ぬるくなった缶ビールは苦いだけさ
やりきれない感情をゲロのように吐きながら
明日はどっちかなんてサイコロを振れば
出るのは零の目ばかり
得たいの知れない剃刀が俺の脳みそ切り開く
俺の体に冷たい血液流れ出し
死体がゴロゴロ転がりだした
風がアパートの外でやたら五月蝿い夜に
戻る 編 削 Point(1)