ことの終わりの理/ただのみきや
 
獣の声だ
注入される液状の夜
ミジンコの群れが点滅しながら
見惚れるようなキノコ雲になる
罪名のあやふやな死刑宣告にもリズムがあって
片言のフランス語で歌う自由の
関節ひとつ短い指先が
娼婦の冷たい胎に赤ん坊を素描するように
素早くターンしながら像はぶれ
あたかも偶然と運命に分かれているような
一人二役の無言の投石が
頭を砕く刹那
煌めく噴水に纏わって限りなく
静止へと近づいた蝶の紅い翅
その見開いた四つ目から
見つめていたのだろう
白い名刺一枚
あった気がする手の中にいまも




              《ことの終わりの理(ことわり):2018年1月8日》









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