ことの終わりの理/ただのみきや
 
絆は悲鳴を上げる
壊れたオルガンから吹いてくる
冷たい無言の侵食に
皮膚は乾いて剥がれ落ち
ざらついた土壁が顕わになった
隠れたところから見ている
目が
衝突して擦(こす)り付けられている
見たくなかったから
目は見ることをやめなかった
言葉はもう言葉ではなかった
裏返った傘があばらを晒すよう
握ったまま濡れても手放せず
為す術もなく翻弄され
やがて心も一緒に水に溶けた
より低くより暗い方へ
誘われる粘菌のごとく
月の満ち欠けより遅く早く
たなびく青い布を遠く想う
他人のものだとつくづく思う


麻袋を被って数十年窒息したまま
32分音符に裏打ち
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