柔らかな感触の骨と身/こたきひろし
 

誰かが遠くからしきりに名前を呼んでいるような
気がした

その時
彼は腹部に激痛を感じてその場に倒れこんだ
邪魔なんだよテメエ!
知らない男だった
一声怒鳴って不敵な笑いを浮かべた
その後は人混みに紛れて消えた


女性の悲鳴が上がり
倒れて苦しみもがいている彼の周りに人だかりが
出来た


彼は自分に何が起きたか理解できなかった
ただ空虚な思いからは
いっぺんに解放された
戻る   Point(2)