天気予報/
本田憲嵩
まだ晴れている朝
片方の前髪だけ趣向を変えて
より露わになった左半分の肌色が
まるで新調の石鹸かなにかのように光っている
かつては他人の雨傘をほんの少しの間だけ
秘密の甘い果実として共有し合った事もあった
今は其々が其々の雨傘を所有し
玄関隅の円い傘立てだけが
朝の短いキスと同じくらいの空白で
二人の唯一の結節点である
その一瞬の深い夢から目醒める
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