無題/◇レキ
 
を遠く聞きたい

甘く裂ける不安と共に

鮮、とした自由と共に

僕は確かに柔らかい糸で水筒の紐を編んでいる
虚空に対しながら
変わらぬ堅さで





   丘と少年



これまでの寂寥
場に溶けず消えたがる自身の妬み

これまでの破壊
刹那に消えてしまう色の無い虚しさ

絶望に諭されてようやく穏やかに
小さな意思になる
小さな勇気になる



かさぶたみたいだ
少年から地下まで裂けた埋まらなさに
花から溶け流れ 生まれた小さな丘

美しい悩みに柔らかに日は射し
悲しい約束事で樹木は茂り
愉快な煩わしさで土を豊かに

吹く風に
影をつくる雲に
泣き声の根源の全てを明け渡し


人生は美しく 生きるに値すると表明し続ける


風景に馴染んでゆく小さな丘



少年は
花と鬼に明日への導きを乞う
初めて身の丈の自分を見つめる
ぼんやり丘を眺める
少女にささやかな秘密を託す



そして願う
切実に 切実に

明日も生きていたい、と…

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