無題/◇レキ
 
   

   砂漠と街



谷を下った
生きることは谷を下ることだった

谷底には血糊があった

谷底を下った
行き止まりかと思った

絶壁に挟まれたけど
さらに進めた
景色が晴れた

小さく見える海と砂漠があった
それと古い街があった
雲が影を落としていた





その日は
随分陽射しが強く
一段と雲の濃淡がくっきりして
ごうごうと熱風 吹きすさぶんだ

あの人は あいつは
どこに行ったのだろう

砂の嵐が痛くて 痛くて

テントを何度 張り直したろう

沢山の人が訪れたはずなのに
小さく微笑みさえ浮かべて
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