復讐するは我にあらず/こたきひろし
 
果たして
絶望は希望の反対側に位置しているのか


ただ
いたずらに死への憧れを抱き始めた頃から
彼女の心には、空虚と言う厄介な蜘蛛が巣を張り巡らせていた

それは十代の半ばだったと思う
彼女は自分の感情の起伏をほとんど表に出さない少女だった
必要以外の口をきかない、ほとんど無口な存在だった
いつも、いったい何を考えているのかわからない
泣くこともなければ笑うこともなかった
でも
それは人前だけに見せる顔で、内心は気性の凹凸が激しいそうな匂いを
させていた

家族のなかでさえ、絶対的な孤独感にさいなまれていた
自然な成り行きとして他者を愛せないと同時に自分にも愛
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