人形だって泣けるんだ/まーつん
 
沢山の偽物をつぎはぎして
自分という人形を作り上げた
糸と針で縫い合わせた、
建前と奇麗事のパッチワークを

ああ、
何も変わっていない
疑いを知らない、無垢な心を
この世界に差し出して
何度切り刻まれたことだろう

それでも
受け入れられたくて
本心を隠して

偽りの笑顔、偽りの言葉
目をそらさずに鏡を見つめても
記憶に残るのは影絵のような、
漠とした印象だけ

どこで誰といても自分だけが
別の星からやってきたような違和感
優越感と劣等感の間を
ハムスターのようにせわしなく
行ったり来たりしている
落ち着きのない心

僕が持っている「本物」は
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