終わり ひとり ?/木立 悟
碧い羽が曇を包み
少しずつ少しずつ破れ
水の光をこぼす
光の水をこぼす
海の上の空に
海が映りゆらめく
朝はしずか
昼はしずか
とり残された場所
どこからも等しく離れた場所
生きていないのにあたたかく
うつぶせの場所
薄い薄い薄い虹が
重なり合うときだけ現れて
波打ちぎわのひとつの
旧い椅子を照らしている
地と同じものがどこまでもつづき
空はもう無くなったのかもしれず
さざめく音の照り返しだけが
誰も居ない街に寄せるばかり
碧と碧の会話のなかに
眠りは滴り 入り込み
まどろみは頬から指へと伝い
ひとりの肌をあたためてゆく
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