紙の舟/そらの珊瑚
 
キミが折った舟が
わたしを載せて
すべるように小川を下る
冬にさしかかれば
時間が凍らないようにと
祈る
どこへ向かっているのか
きけばよかった
それはたぶん大切なことだったのだと
きづくのは
いつも発ってしまってからなのだ
たとえば
キミが飛行機ではなく
なぜ舟を選んで折ったのか、とか
特に理由なんかないのかもしれないけど

キミの指のあたたかさを
離れて想う
キミの指紋だらけの舟で
眠れば
さよならしたことを
忘れてしまいそうになる

儚さに揺らされ
錯覚はいつだって素敵
さざ波は、子守歌
たった一枚の紙こそ、強く
雪は、温かい
命という命は
どこかへ向かいながら
永遠という場所にとどまっている


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