仮構/葉leaf
 
説明責任、メンタルヘルス、仕事はスリム化され効率化され解毒されていき、零点に収束するものと無限に拡散するものが等しく執行されていく。無尽蔵に消費されていく労働、いや消尽していく労働というべきか。給与は労働の対価ではなく、承認こそが労働の対価であり、上司や部下・同僚に頼られることや自ら達成感を感じることにこそ労働の祝祭性は宿るのだ。労働は血や性の匂いがする。労働は混沌とした生臭い情熱に突き動かされながら、仮構された論理や秩序に則ってフィクショナルに展開していく。すべてが劇中劇であり、すべてが作為的なテクストに過ぎない。実存が仮構され、仮構されたものが実存に食い込む。生臭い根源と秩序立った筋道とが交互に追い抜きながらこの事務所には明日が育っていくのだ。時制はいつでも未来形であり、この事務所には未来の仕事しか存在しない。人々は未来の舞台の上で己の内臓と他者の内臓との辻褄を合わせている。さらば人文学、その狭隘な自意識に飽きた。

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