眠れない夜は/こたきひろし
私の命に仕掛けられた花火
火をつけられて
打ち上げられた冬の夜空
大輪に咲いた花の欠片が
灰になってこぼれるように堕ちてくる
そんな筈はない
降ってきたのは雪
街はたちまち
雪景色
眠れない夜は
眠れないままに任せて
部屋の天井は暗黒
私のさびしい眼は
じっと見ていた
きっときっと
私の魂は
体を飛び出して
天井をすり抜けて
極寒の夜空
しんしんと降る雪のなかを飛び回り
そして
寒さにたえきれずに
眠くなって
凍え死んでしまうに
違いなかった
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