鏡の向こう側/坂本瞳子
 
どう返事をしたらいいのか
分からなかった
だから聞こえなかったふりをした
残酷さを認識しながら
どうしようもなく
謝ることさえできなかった
すべてを過去形で
文章に書き出しても
拭うことができない
想い出を抱きしめて
優しくなれない自分を
今もって嫌いなままで
今日を過ごす
作り笑顔も相変わらず下手くそで
嘘が大嫌い
等身大の自分は
見えてきたけれど
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