上手く眠れないのならなにかほかのことを/ホロウ・シカエルボク
もやのたちこめる裏通りを
うす汚れた天使が歩いている
ショック・ロックな服を着て
まるでアリスのダンサーさ
彼女のポケットにはリコリススティックと
ショート・ホープが二箱
滅多に食べないし
最近じゃ吸うこともなくなったけど
その重みがないと
落ち着かないって言うんだ
彼女は、いま
退屈しのぎのイラストを描くためのノートを
どこかで購入しようとまだ開いている店を探しているところ
そしてその彼女がさっき通り過ぎたコインランドリーで
全財産と言える数着の衣服を洗濯している男は
車の雑誌を読みながら
一二〇〇馬力で世界を呪っている
巨大なドラムが回転する音
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