時間外/ただのみきや
冬の遅い日の出に染められた雲
青白い夢間の悲しみに落ちた火種
見上げても見上げてもただ冷たく
網膜に暗い紫の影を落としては
眼孔から骨の隅々まで音叉のように
十二月の痺れを伝えるだけ
球根を植える季節をやり過ごす
巣立って間もない雀たちのお喋りが埋め尽くした
悩みの日には自分の顔は自分で描くものだ
球根を植えることは種子を植えることとは違う
人によく似た何者かの切断されたトルソ
小さく円みを帯びた肉塊の夢
春にはすらりとした腕や脚そして
瑞々しく華やいだ顔が伸びる
陽炎の揺らめく眼差しで
翼を切られたコウモリが光の中でのたうつように
法則と意思に引き裂かれて
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