無題/◇レキ
 

埋もれそうな悲しみが光る

手に取ってみると霧散してゆく

 本当 の一欠けらの涙がある

終えよう 終えよう
僕が透かすと 虹色に溶けて




互いの思い見つめる扉に
去らせない小さな鍵がある

ただ少し指を触れ カチリと放てばいい悲しみを
させないように窓の外から風が笑って

 本当 は未熟な僕にとって救いだったから


代わりに小さく唄うのです


 本当 は
僕の生そのものに訴え続けるのです
これからも僕に溶けるのです

だからそれでもいいのです

君からもらった 本当 は
しなやかに形を変えながら
僕の心に生き続けま
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