a spool/終
澄ました水を眺めるくらいのここは小さな部屋です。
灰色の砂が時折、いたずらに跳ねる水で濃いグレイになったり・・薄いグレイになったりします。
太陽が出たりすることも月が沈んだりすることもない窓枠から時折、銀の雫が零れ落ちてきます。
ワタシは、真白なレースのワンピースを新調したばかりで、羽根の付いた万年筆と鍵の付いた日記帳を持って部屋の隅から窓枠を眺めています。
銀の雫は、たくさん落ちてくるときもあれば長い間何も音を鳴らさないときもあるのです。
その瞬間の訪れをワタシは待っていなければならないのです。
澄ました水を眺めるくらいの小さな部屋の灰色の砂が、余りにも濃く染
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