秘密/ただのみきや
少年は秘密を閉じ込める
美しい叔母のブローチをこっそり隠すように
部屋に鍵をかけ 歩哨さながら見張っていたが
閉ざせば閉ざすほど膨らんで行く 妄想は
秘密を太らせるのにはもってこいの餌だった
――もし知られたら
知ってもらえたなら きっと
やがてすっかり発酵 ふかふかに焼き上る
部屋ごと膨らんではち切れそう
口を開くたび 甘美で 淫靡な
秘密が匂い立つようで
ああ鼓動! 内側から激しく叩く
――鍵? つっかえ棒だけ
そう 扉を開けることができるのは
世界でただ一人 閉じ込めた自分だけ
そんなに時間はかからなかった 秘密は
共有された秘密とな
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