がらくたライブ/吉岡ペペロ
かれらの加齢臭は俺からもしているだろうか
ライヴにはなんとも言えない桑田佳祐の人柄のよさがあふれていた
かれの61才という年齢はなにを意味するのだろうか
歌は新しいアルバムの曲がほとんどだった
あたりまえのはなし最新の年輪はいつも若い
樹齢300年でもそうだ
それに音楽は目には見えない
目には見えないから時空はない
だから過去も今も未来もパラレルワールドもない
ないというかある
みんなある
過去も今も未来もパラレルワールドもある
それが桑田佳祐となって俺の今にあるだけだ
表情やこまかいしぐさが分からない桑田佳祐が
兵庫駅から俺の会社までの距離くらいのところで歌っている
みっつの大画面でも桑田佳祐がでかでかと歌っている
それらを四万人が見ている
ファン歴みたいな時間的感慨はまるでなかった
俺と桑田佳祐の
あったかも知れない、なかったかも知れない距離的差異を
2時間40分俺はただただ見つめていた
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