あしもとの小石を拾い上げること/ホロウ・シカエルボク
ベルベットの下には
死体からこぼれ落ちる
血液のような
ぬるりとした感触があり
流れている音楽には温度がない
倒れる時のことを思いながら
ステップを踏むバレリーナ
人生は、その
くるぶしの痛みにとてもよく似ている
世界有数の浮かれた恋人同士が
「戦争は終わった」と今年も口ずさむ
別に殺し合いがなくなったわけじゃないのに
いつだってそう、連中が
白か黒かと唾を飛ばして語り合うのは
馬鹿にも見えるようなことについてばかりさ
飢餓に見舞われて痩せ細る子供達を見て涙を流しても
近所でうずくまってるやつのことなんか気にも止めやしない
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