案山子/dew
 
私はもう
とうに疲れてしまいました

できるなら
もう
笑うことも泣くことも
話すことも歩くことも
みんなみんな
やめてしまいたいのです

私はもう疲れてしまった

感情の動きに
何かと関わることに
自分の虚しさを心いっぱいに感じることに

そして
許されることに

善人で在り続けられなかった私は
許されることで
安らぎは得られないのです

責められることに慣れず
許されることに追い詰められ

行き場のなくなった私は

直立不動のまま
もう長い間動いていません

帰るところも
行くところもなく

ただ
そこに在るだけ

カラスを追い払うこともなく
回りに育つ生物もなく

枯れた荒野に佇む案山子

その瞳は
何を見ているのでしょうか

幾千の朝を迎え
闇を過ごし
渇いた風に晒されながら
なおもそこに立つしかない案山子は

どうすれば良いのでしょうか


私はもう
とうに疲れてしまっているのです


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