汚れた空が/坂本瞳子
見上げた空は
千切れた雲がまばらに広がっていて
見なければよかったと思うほど
薄汚かった
思わず自らの姿を確認する必要を感じ
頭を腹の方へと下げてみるが
人様の目にどう映っているかまでは
なんとも分かりようがない
まあいいさ
しょうがないさ
幾度となく繰り返してきた
空虚な言葉が散漫する
どれだけのことを
諦めてきただろうか
本当は思ってもいないくせに
まあいいだなんて
ふと零れた涙が
自己嫌悪を思い起こし
今夜は眠れないと
胸騒ぎが始まった
一日くらい眠れなかったからと言って
鼓動が止まることはないのだから
悩めるときには奈落の底までも
沈んでみるのも悪くはないさ
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