哀しみの行方/坂本瞳子
 
忘れてしまった哀しみは
傷跡を確実に残し
流血することさえある

内側に秘めた怒りが
溢れ出てしまわないように
少しずつ少しずつ

涙と溜息を交えて
精一杯に誤魔化して
朝陽に晒す

隠れ場所などないのだから
諦めるがいい
言い訳など探さずに

堂々としていても
打ちのめされることもある
乾いた唇のまま

振り上げた拳を
砕かれたとしても
君は君らしく

君よ君らしく
幾重にも
幾久しくも
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