森/ふるる
 
るのでした
だってそれしか兄さんを偲ぶやり方がわからない 父は母はそういったことは何
も教えてはくれずに私たちを置き去りにしたのでした こんなに深く暗い森に兄
さんが私を置き去りにしたとは思わない けれども枯葉踏む火色の夕暮れ 霜の
ささくれる水銀の深夜一瞬兄さんを叫びます どこかで私を待っていてくれるに
違いありません どこまでも広く蒼い森 私が一人で歩くことが肝要なのだとい
つも言っていましたね

(そうだね)

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