ある風のソネット/ただのみきや
 
この風は そう
わき目も振らず往くようで

散って掠める綿雪は
頬から熱を吸い
涙のようなそぶりして

――おれのせいじゃないさ
娘の傍らすり抜ける
往き着く果てもなくただ先へ

この風は そう
わき目も振らず往くようで

からだ失くして
久しいか
あまりにいろいろ見過ぎたか
過ぎ去るものには目もくれず



       《ある風のソネット:2017年12月6日》






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