迷路/ただのみきや
 
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五〜六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがまた?がったり行き止まったり
うねうねグチャグチャと
隙間なく迷路を書いた
スタートとゴールは確実に通じていたが
母も兄も本気で取り合ってはくれない
見ただけでウンザリしたのだろう
「どうせ繋がってないんでしょ」
まったく予想外のことだった


なぜこんな昔のことを思い出したのか
問いながら書いている


わたしの最初の二十数年は
?がっているかどうか分からない迷路を往く日
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