あらゆることが語り尽くされたあとに/ホロウ・シカエルボク
 






いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた窓のそばで
景色を望まないだろう
でも
その窓は
みがかれたガラスよりも
ずっとたくさんのものをうつし出す
そら、覗いてみろ


よどんだ川に棲むさかなは
おいそれと死んだりはしないものだ
取って食おうなんて考えるやつもいやしないから
まるまると肥えて悠々と泳ぎ続ける
排水口にからんで腐敗した水草に隠れて
この世でいちばんおぞましいシルエットの月を見る


おさないこ
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