ある愛のソネット/ただのみきや
愛の包み紙を剥がして食べた
味なんかしない けれど
美味いとか甘いとかなんとか言っちゃって
以来 愛は無色透明 気配を殺し
居るような 居ないような
――気になるのは 破れた包み紙
色味が良くってつい捨てられず
遠く近く見やり 甲斐もなくただ
たぶん玉手箱のけむりのように作用して
それ以前には戻れない
幸も不幸も関係ないところから吹いてくる
後出しジャンケンのようにはいかない
中身が安っぽい娯楽や中毒なら良かったのに
包み紙を弄りながら ゆっくり壊死
《ある愛のソネット:2017年11月29日》
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