あのうた/坂本瞳子
嗚呼と嘆く
愛の苦しみは
あうんの呼吸で
喘ぎを覚え
蒼い春を想い出させる
赤々と燃ゆる炎は
秋の寂しさをかき消し
飽くなき欲望は
明けゆく空の彼方に
赤子の微笑みを映し出す
朝の輝きが
脚を愛でる
明日という日は
汗に塗れて
遊びに暮れる
あたかも
あちらこちらで
熱き血潮が飛沫をあげて
アテナを求めて
後退りする
穴蔵では
兄の影を見つけ
アヌの空を夢に見ては
亜熱帯の風を覚え
あの日を忘れたいと願う
あはれ
家鴨のように
溢れる想いの中
阿片に溺れて
阿呆のふりをする
甘い夢を
網のように
編むときは
雨に打たれて
足元踏元もご存知なく
怪しくも
鮎のように
歩び帰りぬ
荒々しくも
ありのままで
歩き疲れた
荒れ果てた地では
あろうことか
淡い気持ちで
青丹よし
餡ころ餅を頬張ってみる
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