また少し背が伸びた気がして/カマキリ
感情が入り混じって危険になったら
ただ早足でバッティングセンターに行く
やる気のない店員のタバコふかしながらされた挨拶も
今は見えていない
コインを入れて
120Kmで30球繰り出される人生の浮き沈みを
ぼくはじっと見つめながら
適切なタイミング(そう願っている)で金属バットを振る
叩きつけて、振り遅れて、見逃して、苦笑いして
打席には散漫と嫌な考えが転がっている
打ち据えても打ち据えても
コロコロと軌道を変えて笑ってくる
手に残る衝撃はそれが夢ではないとはっきり教えてくれて
いっそすがすがしい気持ちなんだ
ふわっとしたカーブをひっかけて
ぐんぐん伸びる打球は天井のネットに吸い込まれる
最後にぼくは姿勢を正してもう一度構え直す
暗い穴からの一閃を見るために
高いストレートは空振りだった
ボタンを一個外してタバコに火をつければ
また少し背が伸びた気がして
吐いた煙がバッティングセンターの明かりに消えていった
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