(朗らかに読む)/ああああ
スクリーンにはBPMじゃはかれないテンポがある。その遅さにぼくは何度も救われた。一生分の景色をミニチュアにしたようなフィルムのメロディーは匂わせるだけでいいんだ。声に出す必要はない。
さて、でっかい毛糸のジャンパー、一回なくしたマフラー、さよならは好きな言葉。
ここには風を通さないテントもあるし、毛布から出ていけるか本当に不安だ。部屋につもるランプの煤が、道で死ぬタイプのやつに憧れても匂わせるだけでいいんだ。声に出す必要はない。
でっかい毛糸のジャンパー、一回なくしたマフラー、さよならは好きな言葉。
ワン、ツー、スリー、ほら、世界が変わるわ。バターが染みたトーストをかじったまま、足で走って行く。雀が逃げる。雨が止む。尺八が鳴る。転校生とぶつかる。映写機が止まる。
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