朝食林檎ヨーグルト/のらさんきち
しずつ、丁寧に
その肌を露わに剥いていく
甘い蜜で微かに濡れた俎板には
横たえられた林檎の裸体
まだだ!
まだ、辱め足りない!
満たされない嗜虐の心が
荒々しく刃を駆る
均整の取れた肢体を残酷に刻んで
白濁した発酵乳の泉に沈めていく
次々と、無造作に
ああ、慈悲深い神など存在するものか!
救いの手の代わりに差し伸べられた匙は
すっかり醜い姿と成り果てた果肉を掬い
救いなく穢れた僕の口へと運ぶのだ
嘗て禁断の果実と呼ばれたそれは
こうして自らも
楽園を追われし罪人の一部となるのだ
やがて最後の一片が咀嚼され
僕の内なる暴虐は
満たされて再び深い眠りへと
残された善良なる僕は
器にこびり付いた白い残滓を
淡々と洗い清める
まるで何事も無かったかのように
そして朝刊を広げる
天気予報が晴れを告げている
良い一日である
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