夢夜、四 獣の影と永遠の放課後の廊下?/田中修子
獣の影が私を飲み込んでゆくのが分かる。
私は骨と肉に蕩けながら、裏切りのくちづけをしなければならなかったあわれな黄色い衣の男の涙の味、無実の魔女が磔にされて燃え上がった炎の熱さや、黒い分厚い本に許しを希い殺し殺しあう兵士たち、そんな二千年のうらみに抵抗なくすんなりと交わっていき、黒い闇として生臭い息を吐きながら、次にこの廊下にやってくる子羊を待ちかまえてひっそりと蹲る。
(他サイト様に投稿したものを少し手直ししました)
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