夢夜、四 獣の影と永遠の放課後の廊下?/田中修子
てしまうだろう。
さきに、大きな窓があった。
まるで宗教画のように額のされたきれいな大きな窓の前を走り抜けるとき、中の風景が、時が止まったようにくっきりと見えた。
なぜか、そこの窓のガラスは、ほかの窓のガラスと違って、触れればすぐに割れてしまうプレパラートのように薄いのが分かった。叫べば外に声も響くだろう。
きれいに整えられた芝生、赤い果実が実っている木々のあざやかな緑を背景に、幻の蝶のように淡いやさしい色合いの花がポンポンと咲く、手入れされた中庭が見える。その中庭だけは昼の光があかるく差し込んでいて、まんなかで黒い服の神父様がひざまずいて祈りを捧げているのが見えた。胸もとには
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