夢夜、四 獣の影と永遠の放課後の廊下?/田中修子
りと聞こえてきた。
-わたしたちの罪をお許しください。-
みっつめの窓が見え、また昼の光の陽射しさす、あかるい緑の中庭の神父様が見えたとき、私は、立ち止まった。
走れなくなったのではなかった。
このところふくらんできた乳房が痛い。すぐうしろに獣の影がせまっているけれど、気持ちはシンと静まり返っていた。
「私があなたを祈らなかったのではありません。あなたが私を祈ろうとしなかったのですのです、けっして」
なんて私は、偉そうなことを言うのだろう。シンと静まりかえって、涙をこぼしているのに気づいたのは、くちびるに塩辛いのが垂れて舌ですくいとったときだった。
獣
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